こふんの雑記

日常生活でふと気になったことや、その他のことも色々書いていこうと思います。

涼をとるために古来から食べられてきた かき氷

皆さんこんにちは。最近熱くなってきましたね。

夏の季節がもうすぐやってくる時期になってきましたが、夏に食べる物といえば、かき氷があります。

夏の風物詩 かき氷

夏の風物詩 かき氷

夏になると友達と祭りに行き、かき氷を食べていた懐かしい記憶が思い浮かぶのですが、ある日ふと かき氷 の歴史について考えたことがあります。

かき氷はいつから存在していたのでしょうか?

初めてのブログの一回目として、人々に愛されてきた かき氷の歴史について話していこうと思います。

かき氷と清少納言

かき氷に関する最も古い記録は、平安時代清少納言により書かれた『枕草子』のあてなるもの(上品なもの)の段にあります。

平安時代(794年~1185年)

清少納言(960年頃に生まれ、1020年前後まで生きた人物)

枕草子(西暦1001年頃に成立)

清少納言

清少納言



枕草子』 あてなるもの

削り氷(けずりひ) 金鋺(かなまり)

削り氷にあまづら入れて新しき金椀に入れたる

この記述を現代語訳すると、

「新しい金属製の椀に削った氷と甘葛を入れたもの」 となります。

「あてなるもの」 とあるように、冷蔵庫や製氷技術が存在しない当時としては、氷は貴族しか食べることのできない贅沢品であったようです。

 

金椀(かなまり)はこんな感じだと予想

金鋺(かなまり)予想図

金鋺予想図



氷とあまづら

~氷の保管場所~

冷蔵庫が無い時代、すぐに溶けてしまう氷をどのようにして手に入れていたかというと

氷室(ひょうしつ・ひむろ)と呼ばれる保冷機能がある施設(洞窟や深く掘った穴)に、冬にできた天然の氷を保存しておき、夏になると取り出し、都まで運んでいったようです。

 

~あまづら~

削り氷にはあまづらという甘味料をかけていたようです。

甘葛(あまづら)とは、ぶどう科のツル性の植物からとれる樹液を煮詰めたシロップのようなものであり、古くから甘味料として使われたみたいです。砂糖が登場したことにより需要が減り、今では使われることが無いようです。

 

甘味料のことで疑問に思ったこととしては、

蜂蜜

蜂蜜



蜂蜜は削り氷の甘味料として使われなかったのか、という点です。

 

調べてみたところ、日本の歴史書に蜜蜂の記録が初めて登場するのは、日本書紀の642年(飛鳥時代593年 ~ 710年)の頃を記した記述であり、養蜂を試みたところ失敗してしまったという記録が残されているようです。

また、奈良時代平安時代には、蜂蜜が朝廷への貢ぎ物として献上されていたことや、薬として使われていた記録もありました。食用の他にも薬としても使われていたことから、かなりの貴重品だったことが分かりました。

 

これらのことから憶測になりますが、削り氷の甘味料としては、植物から作ることができる甘葛を使った方が、蜂蜜よりもコスト的にも安く簡単に作れたのではないかと思いました。

 

削り氷はどのようにして食べられたのか

絵が残っていないので、削り氷がどのような見た目をしていたのかは分かりませんが、再現するとなると、これらのような見た目になると思います。

削り氷 予想図

削り氷 予想図



現代にある かき氷器 ならば、上にある かき氷 のように、氷を細かく削ることができると思いますが、そういった物が無い平安時代には刃物のような尖った物で氷を削るしかなかったはずです。

また、氷室は屋敷から離れた場所にあることから、細かく削った氷を運んでいるうちに溶けてしまい、ただの冷たい水になってしまいます。

削り氷(けずりひ)予想図

削り氷 予想図



そうなると、上にあるように少し大きめのサイズに削った氷を食べていたのではないかと思いました。

日本では弥生時代の遺跡から、スプーンの様な物が見つかっているようですが、どうやら祭祀用であったようです。

ひょっとすると、スプーンで削り氷を食べていたかもしれませんが、平安時代頃の貴族社会は、箸食が浸透していることから、削り氷も箸で食べていたのだと思われます。

 

上にある削り氷が、ひな人形の近くに置かれているような高坏に乗せられ、貴族たちに提供されたのかもしれません。

高坏

高坏



削り氷の本当の姿は、細かく削った物なのか、それとも箸で掴めるサイズに削った物なのか。

いずれにせよ、甘葛がかかった削り氷を口に入れて溶かし、冷たく甘い氷水を飲むという楽しみ方は変わらないと思います。

 

まとめ

以上、涼をとるために古来から食べられてきた かき氷 の話でした。

かき氷は古くから夏の涼みの楽しみとして愛され、現代でもさまざまなかき氷が人気を集めています。

ぜひ、今年の夏にはかき氷を楽しんでみてください。涼しさと共に、歴史と文化を感じることができるでしょう。