皆さんこんにちは。
前回作った中国の地形図の中に、軍事的に強そうだなあと感じた地域がありました。
その地域は中国の陝西省(せんせい しょう)にあり、古来から歴代王朝の首都が置かれ栄えた場所のようです。
↓前回作った地形図になります。
前回の記事↓
↑ということで今回は、上の写真の赤で〇をしてある「関中」という地域について話していこうと思います。
どうぞ、お楽しみください。
関中の地理
関中とは中国の陝西省中部、黄河の支流である渭水(いすい)流域に広がる盆地一帯を指し、渭水平原ともいうみたいです。
タイトルにも要害とあるように、渭水盆地は北の黄土高原や南の秦嶺山脈といった天然の要害に囲まれており、東側の華北平原に出る入り口側は黄河という大運河が巨大な堀の役割を担っています。
また、渭水は関中平原を潤したことから、農耕にも適した場所であり、こもって守るにはもってこいの地域のようです。
函谷関や武関
こうした防衛にうってつけの場所をさらに強化するように設置されたのが、漫画キングダムにも登場する函谷関(かんこくかん)や武関といった巨大な関所だったみたいです。
華北平原にある中国の主要な地域から関中を攻めるには、函谷関や武関といった守備の固い関所を通らないといけなかったことや、反乱が起きた時にも対処しやすかったことからも、いかに防衛に適した地域であったかが伺えますね。
洛陽と長安
天然の要害に囲まれた咸陽・長安に対して、洛陽は関中の東側の平坦な華北平原にあります。
華北平原にあることから、交通の便が良く経済的に有利な場所になるようです。しかし交通の便が良いことから、守りに弱く、軍事的には不利なようです。
三国志演武で有名なスリーキングダムというドラマがあるのですが、朝廷で専横を極めていた董卓(とうたく)が、反董卓連合軍と戦い大敗した時、洛陽を焼き払い長安に逃げ込んでいます。
なぜ都を焼き払うような勿体ないことをしたのかずっと疑問に思っていましたが、長安のほうが軍事的にも優れた場所であったことが洛陽を焼き払った要因になったことが分かりました。
たしかに、逃げ込める安全な場所がある状況の中、今いる場所が敵に占拠され使われるぐらいなら、自分も焼き払うかもしれないです(´-ω-`) それでも勿体ないと感じますが・・
関中のその後
要害に恵まれ繁栄した長安でしたが、唐代末期以降は戦乱で荒れたことや、人口増加による食料需要に生産や輸送能力が追い付かなくなったことで、政治・経済の中心はより便利な東の方へ移り、長安は縮小し一地方都市となっていったようです。
洛陽の方も五胡十六国時代を経た宋代以降には、食料輸送でより便利である開封という東方の都市に首都機能を取って代わられ、元代以降も都に選ばれなかったことで、重要度は下がっていくみたいです。
まとめ
軍事では関中の咸陽・長安、経済では洛陽というように、都市によって特性が分かれているのが面白かったですね。
そんな繁栄した都市も、最後には別の都に主役の座を取られてしまうのがまた儚いです。
ということで
以上、秦や漢といった帝国が首都を置いた要害の地「関中」の話でした。